フォトグラメトリとは?必要な機材やソフト、メリット・デメリットまで詳しく解説
どうして今、フォトグラメトリなのでしょうか。
意外とその歴史は長く、起源は19世紀半ばというから驚きです。
今ではカメラなどの高性能化によって品質の良い3DCGコンテンツを制作できるようになり、知らないうちにWebなどで誰もがそのコンテンツを目にしていることでしょう。
MogaDigiでは、3DCG制作方法の1つとしてフォトグラメトリの技術を使っています。
ここではフォトグラメトリについて深く解説していきます。
目次
- フォトグラメトリとは?
- フォトグラメトリに必要な機材やソフトウェア
- フォトグラメトリの向き・不向き
- フォトグラメトリによる3DCG制作のフロー
- フォトグラメトリ以外で3Dデータを制作する方法
- フォトグラメトリのメリットとデメリット
- フォトグラメトリの歴史と活用分野
- フォトグラメトリが注目を集める理由
- まとめ
1.フォトグラメトリとは?
フォトグラメトリ(フォトグラメトリーも同じ)は、英語では「Photogrammetry」、日本語で「写真測量法」ともいいます。
対象物をさまざまなアングルから撮影し、その写真をコンピューターで解析して立体的な3DCGモデルを制作する手法です。
生成したい3DCGをどの程度リアルなモデルにしたいかによって、必要な画像データの枚数は変わりますが、一般的には110枚ほど必要となります。
フィギュアのような小さなものから建物や都市などの大きなものまで3Dモデルとしてデータにできます。
2.フォトグラメトリに必要な機材やソフトウェア
フォトグラメトリに必要なものは、カメラ、パソコン、そしてフォトグラメトリ専用のソフトウェアの3つです。
もし対象物が商品なら、回転台に乗せたり、背景を気にすることなく撮影できるスタジオがあれば、より綺麗に3DCG化することができるでしょう。
それでは、必要な機材とソフトウェアについて見ていきます。
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- カメラ
- デジタル一眼レフのような高性能カメラが望ましいですが、最近発売中のものであればスマートフォンのカメラでも解析が可能です。
ただし、高性能カメラの方が、より精度の高い3Dモデルを制作できます。
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- パソコン
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パソコンも同じく処理能力の高いものが最適ですが、現在発売中のものであればノートパソコンでも利用できます。
ただし、処理能力が高いパソコンを使ったほうが、早く処理が終わります。
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- ソフトウェア
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フォトグラメトリ合成をするソフトウェアが必要となります。ソフトウェアは複数の企業から販売されていますが、
「MetaShape」「ReCap」「Reality Capture (RC)」「3DF Zephyr」などが有名です。
得意・不得意な点はそれぞれのソフトウェアで当然異なりますが、無料の体験版などで色々と試してみることもできます。
3.フォトグラメトリの向き・不向き
フォトグラメトリでは、主に以下のような対象物からの3Dデータの制作は不得意です。
- 金属など光沢があるもの
- ガラスなど透明なもの
- ファーなど毛羽立ったもの
- 糸など細かすぎるもの
- 模様表面に変化のないもの
- 真っ黒なもの
- 動くもの
- 煙や炎など実態がないもの
フォトグラメトリは、様々な角度から撮影した対象物表面の情報を元に3DCGを合成しますが、これらはその性質により、正しく3DCGの形状を生成することができなくなります。
MogaDigiで対応している3DCG制作サービスも、このような対象物の場合は、3D制作ソフトを使ってモデリングするなど、別の方法をご提案しております。
3DCGデータの制作は、フォトグラメトリや3Dスキャン、3D制作ソフトを組み合わせることも可能です。
4.フォトグラメトリによる3DCG制作のフロー
ここまで細かい話になってしまいましたが、フォトグラメトリのフローをまとめました。
- 必要な機材やソフトを用意する
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撮影環境を整える
※商品・製品は、専用のスタジオで撮影できるとベターです。
また、都市や建物などドローンで屋外を撮影する場合もありますが、屋外の撮影は曇りの日にしましょう。 -
写真撮影する
※少しずつ角度を変えて撮影をしますが、ブレないように注意します。また、反射や照明で色が飛んでしまわないようにも配慮します。
ここで上手く撮影ができれば、その後の3DCG合成処理がスムーズとなります。 - 写真(画像)から3DCG合成処理をする ※撮影した写真はパソコンに取り込み、専用ソフトで3DCGモデルとして生成を行います。
- レタッチする ※現物に近い形が作られた場合でも、3DCG表面の「質感」に違和感がある場合には修整しましょう。
5.フォトグラメトリ以外で3Dデータを制作する方法
3Dデータを制作する方法はいくつかありますが、フォトグラメトリ以外で代表的なものは次の2つです。
・3D制作ソフトを使う
・3Dスキャナを使う
それぞれ簡単にご紹介します。
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- 3D制作ソフトを使う
- 3D制作ソフトを使って1からCGを形作る方法があります。現物がなくても制作できるので、実在しない架空のキャラクターや、あるいは現物の用意が困難な場合には、3D制作ソフトを使います。人の手で造形していくため、時間とコストの掛かる手法ですが、理論上どのような形でも制作可能です。
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- 3Dスキャナを使う
- 対象物にレーザーやセンサーなどをあてることで3Dデータを制作する方法があります。専用の3Dスキャナが必要となり、その費用はスキャン精度によって、数万円から数百万円まで様々な機器があります。
6.フォトグラメトリのメリットとデメリット
これまでも少し触れましたが、フォトグラメトリにはメリットとデメリットがあります。
今からフォトグラメトリにチャレンジするという方は、しっかりと確認しておきましょう。
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- メリット
- フォトグラメトリは3Dスキャナより安価に機材を揃えることができます。また、写真から合成するため3DCG表面の模様などをリアルに表現しやすい特長があります。
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- デメリット
- フォトグラメトリは実物がないと3DCGデータを制作することができません。また、不得意なモデルもあります。
7.フォトグラメトリの歴史と活用分野
フォトグラメトリの歴史は現代写真技術と同じくらい長く、起源は19世紀半ば!
地形調査、測量、建築、法医学、工学、品質管理等、さまざまな分野で活用されている昔からある技術です。そのため、フォトグラメトリという言葉にはなじみがない方でも、実はその技術を仕事で使っているという場合もあるようです。また、近年では3DCGゲームなどのコンテンツ制作にも使用されるようになりました。その背景には、昨今のカメラやパソコンのスペックの向上、新しいソフトウェアの誕生により、クオリティが飛躍的にアップしたことが挙げられます。
8.フォトグラメトリが注目を集める理由
2020年からの新型コロナウイルス流行以降、ARやVRの活用が急速に広がり、必然的に3DCGコンテンツの需要も増えています。Web上でのコミュニケーションの現物確認や、教育、ゲームなどの素材として、フォトグラメトリや3Dスキャナ、3D制作ソフトによって制作した3DCGは、今後もますます活用が広がっていくことが予想されます。
9.まとめ
フォトグラメトリは、PCやカメラ、ソフトが高性能化し、活用の場は広がっています。
また、最近では、iPhoneだけでフォトグラメトリができるようになったりと、一般の方にも3Dデータ制作が身近になっています。
iPhoneだけとなると、高性能なパソコンなどで制作した3DCGより品質は落ちますが、個人的に楽しむには十分な品質です。
なにより、iPhoneをお持ちなら実質無料で制作できます!
今後もフォトグラメトリに注目していきたいですね。
ちなみに、筆者の調べでは「フォトグラメトリ」の方が、「フォトグラメトリ―」より一般的に多く使われているようでした。
MogaDigiではフォトグラメトリで3Dデータを制作する「3D modeler」サービスがあります。
また、併せてご紹介した3D制作ソフト、3Dスキャナを使った3Dデータの制作も対応しているので、基本的には商品、空間など、どんなものでも3DCG化することができます。
気になった方は、ぜひ下記ページもチェックしてみてください。